セミナー情報

第39回ICTE情報教育セミナー in 関西大学
(共催)関西大学情報教育セミナー
―情報教育・ネクストステージ―

日時:平成20年6月15日(日)  9:45~17:00
会場:関西大学千里山キャンパス尚文館

研究会の様子

9:45~10:00 会長挨拶
  水越敏行 (大阪大学名誉教授,関西大学特別顧問,ICTE会長)
10:00~11:00 基調講演
  中国普通高等学校における情報技術 新過程改革と教材研究
講師:徐 福(華南師範大学教授,中国高校情報科教科書責任編集者)
○講演者紹介 生田孝至(新潟大学理事・副学長)
徐先生は,教育技術全体に関わる様々な仕事に関わっており,「情報技術」の教科書で主任監修者を務めていらっしゃる,と紹介した。中国では,教科書改訂の時期であることに触れ,大きな流れを話していただけるだろう,と述べた。

○基調講演 徐 福 (通訳 吴Pengze)
新課程改革が必要であると考えた背景となった,2003年時点の調査について紹介した。
新課程での目標としては,コラボレーションや問題解決能力の育成,総合的な評価方式の普及などがある,と述べた。それを基礎に,「情報技術」の新課程改革が行なわれ,「情報技術」では,「情報の素養を高め,情報時代を担うに適した人間を育てる」などに加え,「交流や協調を重視し健全な情報文化をつくる」といった理念が立てられた,と述べた。
また,中国での,教科書や情報機器を用いた授業の様子を,動画を交えながら紹介した。


11:00~12:00 情報教育の明日~徐教授の講演を受けて~
○埋め込み型の情報教育
黒上晴夫(関西大学教授)

小学校,中学校の新学習指導要領の内容に触れ,情報教育にあたる内容が,現行の指導要領よりも各教科に入り込んできていることに言及した。小学校,中学校の変化を考えると,高等学校での教科「情報」は様々な分野を親学問に持ち,より高度化するだろう,と述べた。
○情報科におけるコアのイメージ
田邊則彦(慶應義塾湘南藤沢中・高等部教諭)

何かを実現するための手段としての「情報語力」という言葉を本校では使い始めている,と紹介した。中国でもコラボレーションや過程を重視する教育にシフトしてきているようだ,と述べた。高等学校の新指導要領はまだ出ていないが,小・中・高・大のバランスを考え,今一度情報教育について見直す時期に来ているのではないか,と締めくくった。
13:00~13:30 実践報告
  PodCastingを用いた情報の授業
講師:佐藤正二(鎌倉女学院中学校・高等学校教諭)
土曜講座「情報」分野のPodCastingの取り組みを紹介した。広告業界の方を招き,作品制作だけでなく,分析や街頭インタビューなどさまざまなことを行なっている。情報発信が容易にでき,作品も手軽に制作できるようになってきた背景に触れ,生徒たちの発想力を伸ばしていきたいと述べた。

参考URL:http://kamakurapodcast.seesaa.net/
13:30~16:20 ワークショップ・ポスターセッション
ワークショップを第1部/第2部と分け,ワークショップとポスターセッションを同時進行で行ないました。
ワークショップ:PodCastingを体験しよう!
田邊則彦(慶応義塾湘南藤沢中・高等部教諭)
江守恒明(富山県立砺波高等学校教諭)

Podcastの概要や,教育現場での活用例などを紹介した。その後,「教室でどう使うPodcast」と題し,Podcastの活用場面についてグループディスカッションをし,プレゼンテーションを行なった。グループからは,文化祭の踊りや植物の観察,テスト勉強への利用などの様々なアイディアが出た。また,プレゼンテーションの様子を録音・録画し,GaragebandとiWebを用いて作品を制作した。
ポスターセッション:実践の工夫2007

池田明(大阪市立扇町総合高等学校教諭)
「情報教育における表現と発信をどう実践に盛り込むか」

稲川孝司(大阪府立東百舌鳥高等学校教諭)
「情報科に求められる情報活用能力」

岡本弘之(聖母被昇天学院高等学校教諭)
「コミュニケーションを意識した授業実践について」

河野卓也,澤田一彦(滋賀大学附属中学校教諭)
「情報学に基づいた教育課程の開発
―言葉と体験,習得と探求をつなぐ「活用する力」を高めるために―」

杉崎忠久(奈良県立香芝高等学校教諭)
「ケータイ仮想ショッピングページ作成プロジェクト」

成瀬浩健(京都女子高等学校教諭)
「情報リテラシーを身につけよう」

長谷川友彦(近江兄弟社高等学校教諭)
「こころをつなぐ情報科教育の実践~「情報」とは何かを中心に」

堀内泉(大阪市立天王寺商業高等学校教諭)
「地域に密着した情報教育 ~フリーペーパー作っちゃいました~」

山上通惠(兵庫県立神戸甲北高等学校)
「パズルの解法を通じて学ぶプログラミングの基礎」

山室公司(大阪府立摂津高等学校)
「総合実習型の情報教育 ―情報モラルを例に」

米田謙三(羽衣学園中学校高等学校)
「教科「情報」実践
~プロジェクト学習とメディア創造力 そしてこれから~」





16:30~17:00 ポスターセッションから見えること
司会:黒上晴夫(関西大学教授)
水越敏行(大阪大学名誉教授/関西大学特別顧問/ICTE会長)
他教科との関連や,交流学習について発表していたポスターセッションに触れ,中身のある授業となっている,と述べた。また,「情報」はプロジェクト学習の柱など,様々な要素に広げていけるということが浮き彫りとなっており感心した,と述べた。

久保田賢一(関西大学教授)
「情報」は他の教科に比べると,内容に縛られず,地域や状況に合わせた授業展開ができるという点で素晴らしい教科であると感じた,と述べた。また,コンピュータの操作ではなく,コンピュータを使って何をするか,ということが重要であるということが明確になっていた,と述べた。

フロアからも,「授業の参考になりそうな事例があった」等,振り返ってのコメントがされた。


17:00 閉会挨拶
  江澤義典(関西大学教授)